pub:2016.2.13/upd:2016.8.5

【講義要約】知覚 認知心理学#3 (放送大学)

知覚回

知覚とはなにか?

知覚が起こるのは進化生物学的な視点に立てば、環境への適応の必要であるからである。逆説的にいえば、環境を構成する多くの要素のうち、我々の生活に死活的な重要性を帯びる可能性のある要素しか知覚できないということになる。

また、認知心理学的な視点に立てば、知覚は認知のために必要な情報を取得する現象と見なすことが出来る。例えば、我々が輪郭と色の塊を見る時、それが猫であると認知するためには猫の形質をあらかじめ知っておく必要もある。すなわち、必ずしも知覚されたものが自覚(認知)されるとは限らない。

物体の知覚:視覚の例

視覚を例にして物体を知覚するプロセスについて整理する。認知心理学では、以下の3つのプロセスを経て物体は知覚されるものと考えられている。

  1. 要素の符号化
  2. ゲシュタルト要因や運動要因による統合
  3. 推定による補完

目から入力された情報は、まず明暗、線、傾き、動きなどの要素に分解され、それぞれの要素がどのようなスカラやベクトルを持つのかといった情報に符号化される。また、そこで両眼視差、運動視差など、他の機関からの情報の統合が考慮され、補正がなされる。なお、この符号化を行うための生得的神経機構の存在が確認されている。

次に、符号化された情報はゲシュタルト要因によって、「一つの物体」や「一連の物体」として統合される。ゲシュタルト要因には、近接の要因、閉合の要因、良き連続の要因などがある。

近年では、ゲシュタルト要因の他に、運動要因による統合も行われることがわかってきた。運動要因による統合とは「剛体によって繋がれている」という仮定のもとで、統合を行うというものである。運動要因は、多数の光点の動きが人の形として知覚されるバイオロジカルモーションの実験などよって知られるようになった。

要因による統合が行われた後には、不確定な部分の補完が行われる。たとえば鉄格子の向こうにいる猫を、鉄格子に体の一部が隠されていたとしても、猫であると認知できるのは、知識からの補完が行われるためである。この補完は、遮蔽物の存在によってはじめて行われる無意識下の補完であり、アモーダル補完と呼ばれている。

要因による統合迄をデータ駆動処理またはボトムアップ処理、補完は概念駆動処理またはトップダウン処理とも呼ばれている。

3次元への展開

目から入力された情報は原理的に2次元でしかないが、我々は3次元世界の表象として処理する。具体的には「水晶体の厚み」「両目の輻輳」などの情報や、手前にあるものは奥にあるものを隠すという物理的な法則「遮蔽関係」を使って3次元として理解する。

運動の知覚

運動に関しての情報は、「形」とは別の神経機構による処理を経て、最終的な統合が行われることが実験で確かめられている。

視覚からの運動の知覚では、まず自分が動いたのか世界が動いたのかを判別する必要がある。この判別のために、サッケードなどの眼球運動が行われているとも言われている。

視覚的に自己運動感覚をもたらす知覚現象としてオプティカルフローがある。

REFERENCE

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