pub:2015.9.2/upd:2016.8.4

【要約】「伝わる文章」が書ける作文の技術

名文記者が教える65のコツ

元朝日新聞の編集局長による文章指南。
新聞の現場で心配りを重ねてきた筆者が、読者からの投稿を添削することを通じて「良い文章」とは何かを書き連ねる。

添削が生々しくてよい。頑張って書いたのだろうが、ひどい(といっても日常よく見かけるような) 文章がたくさん掲載されていて、「みんな悩んでいるのだな」微笑ましくもあった。

良い文章とは?

文章の「良さ」は、以下の要素によって構成される。

  • 正確さ
  • わかりやすさ
  • 美しさ

TPOに応じて適切な配分は変化する。朝日新聞の記事の場合は、以下に示す要素によって「良さ」が評価される。

  • 相手に正確に意味が伝わる (正確さ)
  • 相手に誤解を与えない (正確さ)
  • 相手に負担をかけない (わかりやすさ)
  • 心地よい読後感が残る (美しさ)

基本編・応用編

良い文章を実現するための65の具体的なコツを以下に示す。各内容は30年にわたる実践の場で洗練されたものである。

前述の4つの要素を用いたコツの分類は@256によるもの。

相手に正確に意味が伝わる (正確さ)

  1. 主語を明確にする
  2. 位置を伝える (時間的、空間的な情報を付記する)
  3. 形容詞をデータに置き換える
  4. 言葉を補う (読み手に疑問を残さない)
  5. 数字は「マイナス発想」で (論旨と関係のない数字を削る)
  6. 引用はカッコで示す(()を使う)

応用

  1. タイトルをつける(要約・テーマ・誘導のいずれかを意識する)
  2. まず設計図をつくる(アウトラインを作成する)
  3. 文章をなおす(論理の飛躍を修正する)
  4. 文章を入れ替える(比喩は後ろに持ってくる)
  5. 大事な場面は丁寧に(喜怒哀楽が現れる場面の状況描写を丁寧にする)
  6. 心を中継する(感情の動きは実況中継になぞらえて描写する)

相手に誤解を与えない (正確さ)

  1. 主語の転換 (1文の中で主語を変えない)
  2. 文章を安定させる (代名詞を具体的に書き下す)
  3. 受け身表現をさける
  4. 符号の使い方(特別な理由のない限り「」を使う。()で補足せず、地の文にいれる。!や…を使わない。)
  5. 「ですます」体と「だ」体 (混用しない)
  6. 地の文の「思い」をカッコでくくる (「思い」とは心の声や発言のこと)
  7. 読み手に手がかりを残す(検索できるなキーワードを意図的に残す)
  8. 「ナリチュウ」表現を避ける(「成り行きが注目されます」「願いたい」「期待したい」など、主語が不明瞭な表現を避ける)
  9. 伝聞に気をつける(伝聞の箇所は伝聞と区別できるように書く)

応用

  1. 論理的な文章

相手に負担をかけない (わかりやすさ)

  1. 1文を短くする
  2. 複文は単文にする
  3. 句点を読点にする
  4. 読点の打ち方 (主部の明確化、ひらがなの連続をさける、場面の変化)
  5. 「かかる言葉」は近くに置く
  6. 平易な表現にする (漢字の連続をさける、専門用語を「」でくくる)
  7. くどい表現をすっきりさせる (不要な要素を単語レベルで削る)
  8. ムダな言葉を省く (文意に貢献しない表現を削る)
  9. 同じ言葉は省く
  10. 重言をさける
  11. 回りくどい表現をさける (論理的に考えて当たり前のことを書かない)
  12. 「上中下」は必要か? (「会話の中で -> 会話で」のように不要であれば削る)
  13. 基本動詞は、ひらがなで書く
  14. ひらがなの連鎖を断つ
  15. 表記のあれこれ(名称などを別称で混用しない)
  16. 2字の動詞を減らす
  17. 漢数字と洋数字(混用しない)

応用

  1. 「段落替え」では1字下げる
  2. 行ったり来たりを避ける(戻り読みさせない)

心地よい読後感が残る (美しさ)

  1. 絵にもかけないを書く(心意気を持とう!)
  2. 常套句を疑う(常套句は臨場感を奪う)
  3. 体言止めは使わない
  4. 接続詞を省く
  5. 強い文を独立させる(前後に改行を入れる)
  6. 同じ語尾を繰り返さない
  7. 強い「のだ」はひかえめに
  8. 同じ構文を使わない
  9. 「敬語」よりも「敬意」を(1文には1ヶ所敬語が使われれば十分)
  10. 間違えやすい表現(「朝日新聞用語の手引」等を参照)
  11. 記事は手本にならない(手本にしようとする文章のTPOを考えること)
  12. オノマトペに工夫を

応用

  1. 文章構成を考える(起承転結)
  2. 書き出しを軽やかに
  3. 場面の描きかた(単文を多くして、客観的に示すことでいきいきと)
  4. 文書の結び方(場面を描写し、気持ちを添えることで余韻を残す)
  5. 推敲をしてみる

実践編

最初から「いい文章」を目指すのは高望みであると自覚すること。外国語の初学者がいきなり同時通訳者を目指すようなものである。まず、伝わる文章が書けるようになること

伝わる文章とは?

相手の負担を減らすことで、伝えることができる。すなわち、伝わるかどうかは、その文章が備えている「わかりやすさ」によって実現される。こうした文章は、以下の特徴を持っている。

  • 簡潔でわかりやすい。
  • 記事が、過不足のないデータに裏付けられている。
  • 文章の運びにリズムがあり、思わず引き込まれる。
  • 疑問を残さず完結している。
  • 心の機微に触れる描写があり、文章に深みがある。
  • 生き生きとした臨場感がある。
  • 「わが事」だと読者に思わせ、共感を呼ぶ普遍性がある
  • しみじみとした読後感がある。

こうした文章を書くために、「読み手にきちんと伝えたい」という心意気、すなわち「誠意」をもって作文することである。

REFERENCE

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