pub:2015.9.21/upd:2016.8.8

【要約】小論文を学ぶ (第Ⅰ部 読みと書きの技術論)

知の構築のために

第Ⅰ部は、概念化、抽象化、論理化を軸として小論文を構成する方法について示されている。高校生向けということもあり、説明は大変丁寧。

40ページほどで、コンパクトかつハイレベルにまとめられている。

本編はⅡ部な気はするものの、個人的に必要だったのはⅠ部だった。Ⅰ部の要約を残しておく。

概念と文章

小論文試験で求められているのは「社会的な事象」に対する「客観的洞察」である。主観的な感想を中心とした文章は小論文ではなく、作文であり不適切となる。

「社会的な事象」は自分の観察眼を用いて導出するべきものではない。社会的に認識された「概念」(コンセンサス)としてすでに整理されて、共有されているものである。

課題文に登場する「概念」を自分が知っている「概念」を順序良く組み合わせることで、客観性を保ちながら自身の洞察を小論文を組みこむことができる。
(あらかじめ知っておくべき「概念」が具体的にどのようなものであるのかについてはⅡ部で詳説される。)

課題文の読取

「概念」に注目し「ライン読み」と「面読み」の2つの手法を組み合わせることで、理解の効率を高めることができる。

ライン読みとは?

1行づつなぞって各文の意図を明らかにしていく読み方である。一般に精読とも呼ばれている手法である。

面読みとは?

各段落に登場する「概念」のみに着目して順に眺めていく読み方である。なお、「概念」は登場順や登場回数も意味を持つので同じ「概念」が重複して登場しても都度確認すること。

「概念」を順に眺めながら頭のなかで論理の構造を組み立てると、課題文の意図を高速につかむことができる。面読みに十分に習熟すると、十分な背景知識がある領域の文章であれば、目次を見ただけで8割の理解が完了するようになる。

文中のどこが「概念」となるのかは、ある程度の読書経験を通じて感得できるようになる。面読みの能力は読者の背景知識や問題意識に依存して変化するものでもある。

問題に取り組む

課題文を読む

課題文は2回読む。1回目は「面読みの準備のためのライン読み」である。これは、キーワードに印をつけながら行うライン読みのことである。キーワードはあくまで「概念を代表する存在」であるので、分類の厳密さにこだわらなくてもよい。2回目は通常の面読みを行う。

小論文を書く

面読みから読み取った「概念」と自分が知っている関連した「概念」を書き出して、順序立てることで文章の骨組みを構築する。

文章と抽象・具体

抽象的(普遍を重視する)な内容と、具体的(実例を重視する)な内容組み合わせると文章の説得力を高めることができる。

抽象的な主張を行ったあとで、いくつかの具体例を挙げることで演繹的に説得力を高める方法がよく用いられる。

抽象的であることは悪いことか?

客観的な洞察に基づく抽象化は、主張の普遍性を高めるためには必要なものである。

ただし、筆者の主観的な感想を元にして抽象化を行うと、論文ではなくなってしまうので避けること。

論理化

文章の論理構造の型は様々あるが、まず起承転結の型を使いこなせるようにするとよい。

起承転結の型を用いた構成の実際

起承転結の型では、まず3段目に配置する「概念」を書くべき内容として定める。それが定まれば他の段は自動的に組み上がる。

< 起 >の役割

文章の方向性を示す。「転」に向けて議論されるべき内容に必然性を与える。

< 承 >の役割

問題を特定する。問題の発展させる。字数制限によっては不要。

< 転 >の役割

起や承で述べた内容を、一段深いレベルで抽象化する。

< 結 >の役割

話を落ち着かせる。

その他の留意事項

小論文の作成あたっては、以下の点に留意すべきである。

  1. 各論から入るべからず
  2. 「議論すべきである」という事実を必然にしてから主張する
  3. 事実判断と価値判断をバランスよく取り入れる
  4. 比喩を多用しすぎない
  5. 個人的な願望や決意は書かない
  6. 問題の解決策を「個人の主体的な努力」に還元しない
  7. 目的論を因果関係にすり替えない
  8. 感情を議論の基準におかない
  9. 「よい」「わるい」「一長一短」などの建設的ではない決め付けを行わない
  10. 単純な「Yes」「No」に帰結せず、建設的に議論する
  11. 同じ概念を表すのに別の言葉を使わない
  12. 「ゆえに」「よって」は高度に論理的な帰結としてのみ使う
  13. 「」を使って文章にメリハリを与える
  14. 句読点は一定のルールで、読者の理解を助けるために位置に打つ
  15. 直感的に文章のリズムが悪いと感じたら改善する
  16. 形容や叙述は、多面的かつ重層的に行う
  17. 肯定文と否定文を織り交ぜる
  18. 副詞や形容詞を駆使して議論の範囲を限定する

REFERENCE

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